アメフトはオフェンスが注目されがちだが、ディフェンスにも様々な戦術がある。その中のひとつが、ディフェンスのギャンブルプレイといえる「ブリッツ」だ。
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ブリッツとは
アメフトのブリッツ(Britz)とは、ディフェンスの特定の選手が、予め決められたルートでクオーターバックを目指して突っ込むことを意味する。
パスプレイの時は、QBサックができるチャンスがあり大きなロスを狙える一方で、レシーバーをカバーする人員が一人減るのでロングゲインされるため、「ハイリスク・ハイリターン」のディフェンス戦術である。
ブリッツは、オフェンスラインのゾーンに対して突っ込むイン・ブリッツが多く、オフェンスラインのセンターを中心に、A→B→C→Dと呼んでおり、Aブリッツ、Bブリッツ、Cブリッツなど様々なバリエーションが存在する。
また、ウィークサイドのCやストロングサイドのDから突っ込むアウト・ブリッツも存在する。
ブリッツのメリット
- QBにプレッシャーをかけることができる
- QBサックが狙える
- ランプレイを早く止めることができる
ブリッツのデメリット
- ブリッツに入った選手が守るはずだったゾーンが手薄になる
- ブリッツを読まれると空いたゾーンが狙われてロングパスとなる
- ブリッツを読まれるとオーディブルで弱点をつかれる
Point!ディフェンスは、ブリッツをする際にQBに絶対にバレてはいけない
試合で使えるブリッツ8選
①イン・ブリッツ
ボールがスナップされたと同時にラインバッカーがQBを目がけて中央を突っ込むことをラインバッカー・ブリッツという。
ブリッツする選手は、ストロングサイドのラインバッカー(SLB)、ウィークサイドのラインバッカー(WLB)、ミドルラインバッカー(MLB)の誰でもOKである。
②アウト・ブリッツ
ボールがスナップされたと同時にラインバッカーがQBを目がけて外側から突っ込むことをアウト・ブリッツという。
ブリッツする選手は、ストロングサイドのラインバッカー(SLB)、ウィークサイドのラインバッカー(WLB)、ミドルラインバッカー(MLB)の誰でもOKである。
③ゾーン・ブリッツ
LBがブリッツをする際に空いたゾーンを、ディフェンスラインが守ることをゾーン・ブリッツと呼ぶ。
ブリッツをするとゾーンが空いてしまうため、そこのゾーンを狙ったパスが通りやすくなる。そこで、パスカバーが手薄になるゾーンをディフェンスラインがカバーすることでゾーン・ブリッツが成立する。
④ダブル・ブリッツ
ボールがスナップされた直後に、ラインバッカーのうち2人が一緒にブリッツすることをダブル・ブリッツと言う。ブリッツする際は、図にある通り中央に突破するイン・ブリッツでも良いし、外から回り込んで突っ込むアウト・ブリッツでも良い。
ディフェンスラインの4人に加えて、2人のLBがラッシュをするため、相当なプレッシャーをQBに与えることができる。
⑤ディレイド・ブリッツ
ボールがスナップされて数秒後(もしくは2〜3歩下がった後)にブリッツをすることをディレイド・ブリッツと呼ぶ。
オフェンスラインは、スナップ直後にブロックをする相手が決まっているのだ。ここにタイミングをずらしてLBがブリッツしてくることによって、パスプロテクションの対応が追いつかなくなる。
さらに遅れてブリッツしてくるラインバッカーを、誰がパスプロテクションするのか曖昧なため、誰からもブロックを受けずにラッシュできる可能性が高くなる。
特に、QBがボールをキープしている時間が比較的長いロングパスのシチュエーションで特に有効である。
⑥コーナーバック・ブリッツ
スナップ直後にコーナーバック(CB)がQBを目がけて突っ込むことをコーナーバック・ブリッツと呼ぶ。
オフェンスラインからは目の届きにくい角度からブリッツすることになるため、誰からもブロックをされずにQBに向かえる可能性が高くなる。
オフェンスからするとRBがパスプロテクションに参加して、ブリッツしてくるコーナーバックを対応できるかがカギとなる。
⑦セーフティ・ブリッツ
スナップ直後にセーフティ(S)がQBを目がけて突っ込むことをセーフティ・ブリッツと呼ぶ。ブリッツする際は、図にある通り中央に突破するイン・ブリッツでも良いし、外から回り込んで突っ込むアウト・ブリッツでも良い。
通常はLBがブリッツすることが多いため、オフェンスラインはLBを初めに警戒する。そこでLBがブリッツしてこないと判断したら、目の前のパスプロテクションに集中するのだ。
完全にセーフティをケアしていない状態で、ブリッツを仕掛けることができるため、ブリッツを成功させやすくなる。
⑧フル・ブリッツ(全ブリッツ)
ラインバッカーの全員でブリッツを仕掛けることをフル・ブリッツ(もしくは全ブリッツ)という。
フル・ブリッツには、厳密な定義がないため、LBでなくてもコーナーやセーフティの合計3〜4人をブリッツに入れることも可能だ。
DLも加えると7〜8人でパスラッシュを仕掛けることになるため、オフェンスラインとランニングバックではパスプロテクションすることができず、QBサックを狙いやすくなる。
その分、ディープゾーンが空くためパスが通りやすくなるというリスクも存在するので注意が必要だ。
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