アメリカンフットボールは頭脳戦であり、試合が始まる前からその頭脳戦は繰り広げられている。その頭脳戦を担うのが「スカウティング」というもの。マネージャーやチームスタッフが中心となってビデオの撮影をして、そのビデオをもとにチームが一丸となって相手チームのクセや弱点を把握するのだ。
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スカウティングの意味
アメフトのスカウティング(Scouting)とは、相手チームを知るための事前分析を意味する。相手チームとの試合のビデオなどを繰り返しみて、相手の選手の特性、プレーの内容、試合展開、スペシャルプレーなどを把握し、次の試合への戦略づくりに役立てる。
スカウティングのやり方
ビデオを撮る人が、声で「プレイナンバー」と「シチュエーション」を入れるのが基本だ。アメフトのスカウティングのビデオは、プレイシーンだけを繋げて観るので、ビデオだけ見た人が混乱しないように、シチュエーションを入れるのが大事である。
- プレイナンバー:何回目のプレイか
- シチュエーション:何ヤード地点から何回目の攻撃か
キックオフ時に吹き込む内容
“プレイナンバー1、
◯◯大学のキックで試合再開”
プレイを開始前に吹き込む内容
“プレイナンバー2、
◯◯大学の攻撃、
自陣20ヤード地点からファーストダウン10、
ハッシュ右”
プレイ終了後に吹き込む内容(任意)
プレイの内容を把握して、瞬時に吹き込むのは難しいため、これはかなり上級者向けである。もし、吹き込む場合は、フォーメーションとプレイ名、キャリアの選手名やヤード獲得数を入れる。
“アイフォーンから背番号29番のスイーププレイ、5ヤードの獲得”
“ショットガンフォーメーションから、背番号81へのポストパス成功、12ヤードの獲得”
タッチダウン後に吹き込む内容
“◯◯大学タッチダウン、
FG成功で1点追加、
7対0、
第1Q残り5分20秒”
反則があった場合に吹き込む内容
“先ほどのプレイは◯◯大学に✕✕の反則があったため、10ヤードの罰退”
スカウティングのコツ
スカウティングは、「相手がよく使うフォーメーション」と「ポジションごとの個人の癖」まで見抜き、攻めることのできるプレイづくりとしっかりと守れるディフェンスの戦略づくりに役立てる。
ディフェンスの相手をスカウティングする場合
- ディフェンスのフォーメーションのパターンを把握する
- DEのコンテインが「ボールを追いかけるタイプ」か「ステイするタイプ」かを見極める
- CBのタックル力を把握してキャリアを止める力がどれほどあるかを把握する
- DLがどのタイミングで疲れだすかを見抜いて体力を把握する
- DLのパスラッシュのキープレイヤーをマークする
- ブリッツを入れ際の選手の癖やブリッツをいれるタイミングを把握する
オフェンスの相手をスカウティングする場合
- スナップカウントを外してくるチームかどうかを把握する
- ハドルの長さでプレーが予想できるかどうか調べる
- 特定のフォーメーションと特定のプレイのパターンを把握する
- 相手が自信をもっているベースのプレイを研究する
- パスプロテクションのブロックの役割を把握する
- ラッシュのプレッシャーがかかった際にQBがとりやすい行動を把握する
- ランナーのカットバックの癖(内に切るか、外に切るか)を把握する
- キャリアーのボールセキュリティーの強度を把握する(ファンブルを狙えるかどうか)
- 顔の方向でパスターゲットがわかるQBなのかどうかをチェックする
- エースRBとエースWRを見極める
スカウティングにおける注意点
基本的に、試合のビデオ撮影は認められているが、相手チームの練習風景を覗いたりすることは暗黙のルールとして禁止されている。